池波正太郎の『鬼平犯科帳』で主人公として描かれる長谷川平蔵こと長谷川宣以でよく知られている火付盗賊改ですが、幕末の文久2年12月18日までは、独立した役職ではなく、先手頭(先手弓頭と先手鉄砲頭の総称)に追加で命じられる役目でした。これを加役と言います。長谷川平蔵も先手弓頭の在任中に加役として火付盗賊改に任じられています。先手頭は時代によって増減はあるものの、概して30名前後は任じられています。そのうち火付盗賊改の加役を任じられるのは多くて数名です。先手頭加役期も『武鑑』には「盗賊並火方御改」として記載され、「御役扶持四十人扶持、外二十人扶持、御先手ヨリ御勤」と注記が確認できます。下記に『柳営補任』の記載から推定した幕末期(嘉永~慶応)の就任者を列挙します。
先手頭加役としての就任者
牧義制(弘化3年12月15日~嘉永2年10月8日)
水野忠篤<水野忠徳>(嘉永2年10月9日~嘉永5年4月15日)
久須美祐雋(嘉永5年4月16日~安政2年5月22日)
坂井政輝(安政2年5月22日~安政5年6月5日)
豊田友直(安政5年6月5日~安政5年12月29日)
駒井信義(安政5年8月2日~安政5年11月26日)
水野忠全(安政5年12月29日~安政6年9月10日)
鵜殿長徳(安政6年8月1日~万延元年閏3月22日)
黒沢篤之(安政7年2月8日~文久元年5月7日)
大久保忠董(万延元年閏3月22日~文久元年11月16日)
都筑峯暉(文久元年11月18日~文久2年10月24日)
土方勝敬(文久2年10月25日~文久2年12月18日)
専任役職としての就任者
土方勝敬(文久2年12月18日~文久3年8月13日)
大久保忠恒(文久2年12月18日~文久3年4月12日)
池田長発(文久3年5月14日~文久3年7月12日)
佐久間信義(文久3年8月13日~文久3年9月10日)
大久保忠恒(文久3年9月10日~元治元年12月21日)
戸田正意(元治元年12月27日~慶応2年8月4日)